オーディオ評論家 林 正儀 先生より Λ3.16 The Premium の評価を頂きました

オーディオ評論家 林 正儀 先生 Masanori Hayashi

[ルームアコースティックの革新]

30年の歳月を費やし完成これはかつてない“発明”だ

 電源フレッシャーΛ5・3シリーズで衝撃的なデビューを飾ったAiTECから、さらなる奇跡のアイテムが登場した。このΛ3・16はどうカテゴリー分けしてよいのか……。ステンレス製でコマを逆さにしたようなユニークな形状。これを床にぽんと置くだけで部屋全体のコンディションが完璧に整い、全てのコンポーネントの音がリフレッシュ され、これまで聴いたこともないような鮮明で心地良いリアルなサウンドが流れ出すという。そんな発明がかつて あっただろうか。

 さて、Λ5・3シリーズの時(本誌135号に掲載)もそうだったが、開発者である音響コンサルタントの河西秀明 氏は、Λ3・16について多くを語らない。技術内容は非公開。理屈ではなく、まずは聴いてその効果を確かめて欲しいというポリシーに共感するものだ。ラインアップはΛ3・16プレミアム(45万円前後)という最高峰限定モデル と一般向けのΛ3・16プロフェッショナル(22万円前後)。いずれも何と開発に30年を要した入魂の作だという。
「普通はまず技術ありきで、その応用でものを作ろうとします。でもそうじゃなく、“こういうことをしたいから、それ には何をするべきか”からスタートしたので、試作だけで家一軒分の費用。本当に30年かかってしまいました」と河西氏は述懐する。


帯電現象を始めとしたさまざまな要因を排除


 目指したテーマはルームアコースティックの革新である。部屋が悪いから何をやってもだめ、と諦めていないだ ろうか。拙宅へΛ3・16を所定の位置にセットすると、突然一眼レフのピントがあうように音楽がクリアになり、ライブのような気持ちの良い空間が漂う。そのあまりにも歴然たる変化に、結論を見た気がした。何が起きたのか と耳を疑ったほどだが、一体この物体のどこに秘密が隠されているのか。「実はスピーカーからはこの音がキチン と出ています。ところが部屋の環境、すなわち反射や淀み、帯電現象などによって乱されているんです。それを解消し、耳にスピーカーからの直接音を届けてあげるのが、Λ3・16シリーズの役目なのです」。まだ理解不能だが、どうやらピンの突き出た独特の形状、φ80×58H㎜というサイズ、そして素材にもノウハウがありそうだ。いくつかの理論があってそれを総合的に使っているということだが、ひとつだけ聞き出すことができた。先ほどの帯電現象についてだ。「床から1メートルのところは、ほぼ千ボルトに帯電しています。その帯電や有害な電磁波をも吸収しつつエネルギーに変えているのです。微弱な電気を利用するため、とにかく仕上げの精度が命です」。とりわけプレミアムバージョンの底部は100分の1㎜の精度で鏡のように磨きあげられ、顔が歪まず映っていた。 2製品の違いは精度の部分であり、プレミアムバージョンでは全て熟練エンジニアニアよるハンドメイドだという。



元の音調のまま音質が格段に向上これは奇跡のルームフレッシャーだ


 では置いてみよう。左右のスピーカーの中央の前方“89㎝”が推奨のベストポイントだが、効果は100mにも及ぶため少々のズレは問題ない。部屋の中にあればよい、というような感覚である。実際、二階や他の部屋にある テレビなどの音がハッキリと聴こえてきたという報告もあるほどだ。

 効果は20秒ほどで表れた。ボーカルの伸びと抜け出しが、すこぶる良い。ナマ声のような肌合いと厚みもあり、 聴き慣れた「ハンター」がベールを剥いだようなバックコーラスや楽器の見え方をする。体感聴力倍増である。ジェニファー・ウォーンズがそこに居るかのように極めてリアルな音像を提示。と同時に高さや奥行き表現が難なく できていることに驚いた。声がふわっと立ち上がる感じである。筆者のPL300はかなり解像度の高いスピーカー だが、リスナーとの間にあったモヤモヤしたものが取り払われたためだろうか。クラシックもジャズも弱音やディテ ールのキレ込みが格段に向上し、楽器本来の質感や音楽表現のグレードまで高まっている。特筆すべきは、元の音調は変えず全ての楽音をリアルに再現してくれることだ。

 オーケストラものはステージが雄大で、レンジは両翼にたっぷり と伸びている。遠近が精密で、上質な空気感が部屋中を満たして くれる。これは気持ちが良い。リラックスできる。ピークでもうるさく ない瑞々さに包まれたサウンドで、高さや広がりとのバランスのと れた“3D音場”といって大袈裟じゃない効果だ。
 最後に聴いたアナログ盤、『シャルル・ミュンシュ/パリ管』の1967年発足ライブはまさに鬼気迫る演奏である。
 Λ3・16があるとないとでは、「幻想」での低弦の分厚さとティン パニのパワー、ブラスの吹き出しが違い、燃焼度がケタ違いと感じた。ドーム型のシャンゼリゼ劇場の空間が再現されたような錯 覚である。

 何度か本モデルの設置、非設置の聴き比べをしたが、そのたびに全く同じ現象が起きている。
これは信じるしかないだろう。


 部屋のどこにいても効果が実感できることに加え、エアコンなどの騒音も気にならず音楽に没入できるの はあり がたい。会話の声もよく通るようだし、「反響の多い結婚式場では、スピーチや楽器演奏がよく聴こえた」、「補聴器なしでもテレビの音声がハッキリと聴こえた」という、同社のホームページに掲載されているエピソードを裏づけるよ うな体験である。これは奇跡のルームフレッシャー。部屋の問題を見事に解消する、夢のアイテムの効果をぜひ実 感して欲しい。