オーディオ評論家 貝山 知弘 先生より Λ8.24 for Digital の評価を頂きました

オーディオ評論家 貝山 知弘 先生 Tomohiro Kaiyama

[オーディオアクセサリー銘機賞2017『開発特別賞』受賞、ビジュアルグランプリ2017『企画賞』受賞 真の意味での「インシュレーター]

 



注目のオンリーワン「Λ8・24」

「論より証拠」を第一に掲げ、詳細は一切非公開ながら、極めて高い音質改善効果で、瞬く間に注目のアクセサリーブランドとなったAiTEC(アイテック)。同社のポリシーは常にオンリーワンにこだわること。ルームフレッシャーΛ(ラムダ)3.16 シリーズや、電源フレッシャーΛ 5.3 など、これまでユニークなオーディオアクセサリーを世に送り出してきたAiTEC が、新モデルとしてリリースしたのは、なんとインシュレーターだった。一見、何の変哲もないインシュレーターには、実は随所にAiTEC らしい「オンリーワン」の要素が秘められている。その独創性と確かな音質で、オーディオアクセサリー銘機賞『開発特別賞』を受賞したこのインシュレーターの真価に迫りたい。

感謝の念すら抱いたAiTECとの出会い


 私が持つAiTECへの信頼は、同社製品の開発者である河西氏への信頼でもある。河西氏と最初に出会ったのは、リスニングルームに置くだけで音が良くなるというΛ3・16だった。この製品がもたらした信頼。それは私の自宅試聴室《ボワ・ノアール》に導入した時に感じることができた、確実な効果に裏づけられている。当時、AiTECの製品は一切の詳細は非公開。河西氏は「論より証拠」と話しており、その原理は一切分からなかったが、静電気の除去に効果があることは薄々感じていた。試聴でその効果が現れた時、私は感動すると共に感謝の念をも抱いたのである。
 その時に聴いたのは、ヒラリー・ハーンの『モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番』第一楽章。解像度が上がったことによる音質向上効果が現れ、ノイズと歪みが下がり、ヴァイオリンの響きがク感謝の念すら抱いたAiTECとの出会いリアに私の耳に届いた。また、高音域の突っ張ったニュアンスがしなやかに変化し、超高域まで伸びながら刺激音がなくなったのである。音のただずまいもよく分かるようになり、音の芯がくっきりと表出されたことにも驚いた。決して過激な変化ではないが、この変化をはっきりと聴き分けられたことが嬉しかったのである。もとの音も苦労して整えた成果である。なによりも私は、大きな変化は望まない性格だ。
 それから私と河西氏の交流は始まり、氏はアイデアに溢れたさまざまな製品を開発し続けてきた。その最新製品となるのが、インシュレーターのΛ8・24 forDigitalである。機器の下に3つ、このインシュレーターを敷くだけで、再生音からはしなやかなニュアンスが表出された。付帯音や歪みも少なく美しい。また高音域のテンションの高い演奏でも刺激的にならない。これは今回試聴したいずれの曲でも共通したことだ。

 この体験をもたらしてくれたΛ8・24は、価格も非常に抑えられているが、河西氏によるとその生産工程には徹底してこだわっているようだ。一見するとただの丸いパイプの押出材から切り出したようにも見えるが、これらは実は全てひとつのブロックから削り出されたもの。底面にあるベークライト材も貼りつけられたものではなく、樹脂のボディに埋め込まれている。こうした工程を採る理由は、河西氏が徹底して精度にこだわるためで、この思想はAiTECの他の製品にも共通する。色もさまざまなバリエーションを試したそうだが、その効果の高さからこの色が採用されたそうだ。



付帯音や歪みが大きく減衰各項目で理想に近づいた


 今回の試聴に使用した機器は次のとおりである。SACD/CDプレーヤー:アキュフェーズDP‐900、DAコンバーター:アキュフェーズ:DC‐901、プリアンプ:アキュフェーズC‐3850、パワーアンプ:アキュフェーズA‐200×2、スピーカーシステム:フォステクスG2000a、ネットワークプレーヤー:リンKLIMAX DS/3、NAS:フィダータHAFS‐S10、BDプレーヤー:OPPO BDP‐105DJP。 まず聴いたのは、私とAiTECの出会いの時にも試聴したヒラリー・ハーンの『モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番』(CD)。聴いたのは、第一楽章のカデンツァである。彼女がこの楽章で弾くヴァイオリンは非常に美しく、そこに力強さも感じることができるものだが、そのバランスはパーフェクトなものだった。ともすればヴァイオリンの音色に付帯音が乗り、歪みっぽく感じられるこのディスクだが、Λ8・24を敷いたこのシステムではそうした感じは受けなかったことも特筆すべきだろう。 次に聴いたのはピアニスト、エレーヌ・グリモーの『クレド』(BDオーディオ、96kHz/24bit)。このディスクの聴きどころは冒頭で聴ける現代曲特有の低音の伸びと力強さ、そして高音のシャープな切れ込みと力感だが、それら全てが好ましく両立。それぞれのバランスも実に巧みだ。バッティストーニ指揮、東京都交響楽団による『ムソルグスキー:展覧会の絵』(SACD)では、バッティストーニが振るオ―ケストラの力強さ、そして音場いっぱいに響きわたるスケールの大きい響き、そして低音の伸びや締まりがポイントとなるが、その各項目で私の理想に近づいている。Λ8・24で感じたこうした特徴は、ネットワークシステムでも同様のものだった。

価格からは想像できないプロセスを経て磨き上げられた末に到達した改善効果


 河西氏によると、Λ8・24の効果のひとつに、デジタル機器が発生する電磁波への対策があるという。決して多くは語らないものの、その効果は聴けば誰もが納得するところだろう。Λ8・24の音を聴いた私は、これを全ての機器で使いたくなった。特にハイレゾ機器では、その効果は計りしれないものがあった。